ITリーダーの2025年採用に関する初期リターンでは、市場が堅調であることを示唆している。一部の人材紹介会社にとって、技術系幹部職の求人倍率は非常に高い。
マサチューセッツ州ウェストボロにあるCIO、CTO、副社長レベルのシニア・テクノロジー・リーダー、エグゼクティブ・テクノロジー人材を専門とする人材紹介会社、ヘラー・サーチ・アソシエイツのマネージング・ディレクター、ケリー・ドイル氏は言う。「この成長は予想されていたことだが、ビジネスが急増したのは心強いことだ。」
通常、選挙の年は恐怖、不確実性、疑念をもたらし、雇用の減速を引き起こすとドイルは言う。選挙が終わり、新しい暦年が始まったことで、組織や人材紹介会社は求職者の殺到を経験している、とドイルは言う。特にAIが重視されるようになった今、企業は適切なテクノロジー・リーダーシップがなければ、将来困難に直面することを認識し、今のうちに不利な状況を回避しようとしている。
テキサス州オースティンのリテインド・エグゼクティブ・サーチ会社Distinguished SearchのCEO兼エグゼクティブ・リクルーターで、テクノロジー、プロダクト、データ、デジタルのポジションにフォーカスしているサマー・ハックリー氏も、この楽観論を共有している。ハックリー氏は、CIOの採用に関して楽観的な見方が広がっており、多くのCIOが、数ヶ月前と比較してこの1ヶ月でエグゼクティブ・リクルーターからのコンタクトが大幅に増加したと報告している。
しかし、機会の増加に伴い、CIOや求職者が今年何をもたらすべきかについて、大きな期待が寄せられている。
「全体として、2025年に成功するCIOは、技術的な専門知識とビジネスセンス、リーダーシップ、データ、AI、サイバーセキュリティ、M&A統合への注力とのバランスをとる必要がある。CIOはビジネスとテクノロジーの翻訳者である必要がある。優秀なCIOがテーブルにもたらすもののリストは増え続けています」とハックリーは言う。
特に重要なのは、「CIOの採用について語る際に、AIについて触れないわけにはいきません」と彼女は強調する。「CIOはどの会議でも、人々はAIやAIに夢中になっていると話しています。AIは、よく設計され、よく管理され、拡張可能な一連のデータ・プラットフォーム、運用モデル、ガバナンス・モデルから生み出されるものだと、CIOは理解している。」
CIOの役割の変化
2025年におけるCIOの役割が急速なペースで進化していることは間違いない、とサンディエゴのテクノロジーセクターとエグゼクティブサーチに特化したブティック型人材紹介サービスKismet SearchのCEO兼「ヘッドハント担当」であるカナニ・ブレッケンリッジ氏は説明する。「AIの採用、ITアウトソーシング、サイバーセキュリティのリスクは、根本的に期待を変えています。取締役会やCEOが求めているのはITリーダーだけではありません。CIOは、AIの影響をナビゲートし、アウトソーシングされたIT機能を管理し、ROIと測定可能なビジネス価値を推進できるビジネス戦略家として見られています」と彼女は言う。
Heller SearchのDoyle氏も同じ評価だ。「私たちがCIOに求める傾向のトップは、AIの専門知識です。誰もがAIを完全に理解しているわけではありませんが、企業がこの状況を乗り切るために強力なテクノロジー・リーダーが必要なのは明らかです」
それでも、多くの組織は、データ品質とガバナンスに関する基礎的なビルディングブロックが不足しているため、AIを完全に活用する準備ができていない。そのような企業にとって採用のテーマは、生産性、効率性、サービス、データの民主化、そしてデータを活用するためのエンジンの構築である、とDistinguished Searchのハックリー氏は説明する。
「企業は、継続的な改善と測定可能なビジネス成果に重点を置き、適切に設計されたスケーラブルなデータプラットフォームと強固なガバナンスを構築した経験を持つCIOを求めています」と彼女は言う。
今日のCIOに必要なスキル
最も求められているスキルとして、CIOには経済的・財務的な知見が必要であり、さまざまなクラウドやSaaS環境とともにAIの背後にあるコスト力学を理解する必要がある、とハックリー氏は説明する。
CIOはデータを価値に変えることができなければならない、とドイルも同意する。ほとんどの組織は現在、データ統合、データガバナンス、データ戦略のレベルにあるため、これらの分野を進めるために適切なCIOを雇う必要がある。ここ数年、データ、アーキテクチャー、テクノロジーに投資してきた企業にとっては、文化やビジネスモデルの変革がより重要である。
サイバーセキュリティもまた、多くの組織にとって大きな焦点となっている。クラウド・トランスフォーメーションは目新しいものではないが、より多くの資産がクラウドに移行するにつれて、費用対効果と最適化されたシステムのためのマルチクラウド戦略の経験を持つCIOが必要とされている。
「クラウドセキュリティとサードパーティリスクも必須で、悪質業者はより巧妙になっています」とハックリー氏は言う。
管理能力という点では、企業は大規模な変更管理を推進してきたCIOを求めている、とハックリー氏は説明する。
「戦略を立てたり、コンセプトの実証を実行したりするのはひとつのことですが、大規模な実行はまったく別のスキルセットです」とハックリー氏は言う。「CIOの中には、テクノロジーの変更は簡単だと指摘する人もいます。CIOの中には、テクノロジーの変革は簡単だと指摘する人もいます。CIOには、賛同を得たり、影響を与えたり、物事を前進させたりする経験を持つ人材が求められる傾向があります」
個人的なレベルでは、CIOはCEOのような幅広いリーダーシップの役割に移行する方法という現実的な課題にも取り組んでいる、とブレッケンリッジ氏は説明する。CFOやCOOとは異なり、CIOは歴史的にビジネス・アーキテクトではなく、技術的なオペレーターとみなされてきた。
CIO候補者のトップ市場
今年はCIOの採用市場全体が好調に推移すると思われるが、特に有望な業界もある。
金融サービスやヘルスケアなどの規制業界やエネルギー業界では、あらゆる種類のITプロフェッショナルの採用が顕著に改善されるだろう。サイバーセキュリティ、自動化、通信ツール、クラウドやデータセンターのインフラにおけるAIの登場は、大規模な言語モデル（LLM）開発イニシアティブや関連するキャパシティ・リソースのニーズや投資に対応するためのものであり、採用需要を牽引するものである、とニューヨーク州コマックにある総合エグゼクティブ・サーチ会社、エグゼクティブ・アライアンスの北米採用担当副社長、ダグ・ウォルド氏は説明する。
ウォルド氏は、シアトル、サンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨーク大都市圏、シャーロット（ノースカロライナ州）、オースティン（テキサス州）、デンバー、ボストン、ワシントンDC、さらにアリゾナ州スコッツデールなど、AI開発投資に対応する新しいデータセンターの開発が急ピッチで進んでいる地域を、特に有力な地理的市場として選んでいる。
これらの候補地に、AIネイティブの成長企業、セキュリティ・ベンダー、重要インフラ企業、政府関連・防衛機関を加えている。
「CIOの大移動」とは？
2024年には、多くのCIOが転職を先延ばしにしているが、2025年には「CIOの大移動」が起こるという憶測が流れていた。しかし、ブリッケンリッジ氏はその説を支持していない。
「CIOの大移動は、いくつかの理由から実現しないだろう。「第一に、多くの技術者やホワイトカラーがそうであるように、ほとんどのCIOは、関心がないから転職を控えているのではなく、特に幹部レベルでは、大きな問題の解決や創業者として迎え入れられない限り、ほとんど動きがないのだ。」
その他の理由として、ブリッケンリッジは次のように言う：
- 2024年はM&Aの動きが鈍かった。買収や統合が少なかったため、Cレベルで新たなリーダーシップを発揮する機会が少なかった。
- 高金利が企業のリストラを抑制した。多くの企業は、経営幹部の採用や大規模なITプロジェクトを凍結し、あるいはリーダーシップの移行を遅らせた。
- AI主導の環境におけるCIOの役割については、AIがITランドスケープや必要とされるIT機能をどのように変化させるかについて、大きな不確実性があった。
「特に厳しい市場においては、転職を考えているCIOは、より戦略的にキャリアアップを図る必要があり、（単なるAI導入ではなく）AIの収益化やビジネス変革、スキルセットの拡大、テクノロジーや自動化、クラウドコンピューティングを通じたコスト削減や効率性向上の能力を証明できる職務を優先する必要がある」と、ブレッケンリッジ氏は言う。
優秀な人材の給与と福利厚生
CIOは一般的に、給与や福利厚生の面で恵まれている。ここで取り上げたような分野に秀でた人材は、特に高い報酬を得ることができる。
「変革をもたらすCIOを採用する場合、企業は通常、多額の株式権利確定やボーナス支給と戦う必要がある」とドイル氏は言う。「これは、競争力のあるサインオンボーナスや、予想される範囲を超える予定以上の報酬につながる可能性があります。IT、デジタル、データ、サイバーセキュリティ、イノベーション、そして強力なチームリーダーシップの専門知識をもたらすCIOは、競争の激しい市場であり、報酬もそれに見合ったものである必要があります。」
最高額の給与を得るためには、CIOや候補者は、組織がテクノロジーを活用してビジネス目標を実現し、意思決定を促進し、収益を生み出すのを支援する能力に焦点を当てる必要がある。
「最高のCIO候補者は、自分の経歴と面接を受ける仕事の間の翻訳者として素晴らしい仕事をする」とハックリー氏は説明する。「会社は旅に出ようとしており、そのためにCIOを探しているのです。」
最高のCIOは、自分の経歴をどのように関連付け、新しい会社にどのような付加価値を与えることができるかを簡潔に伝える術を知っている。「ストーリーと指標は重要です。私はこれを3回やりましたというのは、あなたがここでどのように異なるアプローチをとるかを指摘するのと一緒に、最初に始めるには素晴らしい方法です。面接官は採用時にリスクを軽減しようとしています。彼らの仕事を簡単にし、あなたが正しい道を導いてくれる人だという自信を与えましょう」
さらに、ほとんどの候補者は最終的な結果についてしか話さない、とハックリーは言う。「候補者を際立たせるのは、彼らが直面した障害と、それをどう乗り越えたかです。あなたの最大の勝利と、それを達成するのが困難だった理由について考えてみてください。これらは、あなたの記憶に残るストーリーです」
裏を返せば、CIOが就職活動で探すべきは、AIに対応できる経営陣、あるいは未来が過去とは異なることを理解しているCEOや役員を擁する企業だとドイルは言う。「トップがそのように一致していなければ、CIOは常識を覆すことになる」
次に、チェンジ・マネジメント能力を備えた組織を見つけることが重要だとドイル氏は説明する。
「強力なビジネスパートナー・コミュニティがあり、イノベーションと変化に貪欲な企業文化を持つ企業を探しましょう」とドイル氏は言う。「その会社には、チェンジ・マネジメントを専門に担当する者がいるか、少なくともその肩書きを持つ者がいることを確認してください。企業が自社の顧客や従業員のためにAI技術を採用できるかどうかの鍵は、組織改革にありますが、ほとんどの企業はまだそれが得意ではありません」
